普段使う言葉を見直したら、メンタルが少しずつ安定した話
こんにちは、いざです。
休職から復帰したばかりの頃、僕は仕事へ行くたびに調子を崩していました。
仕事内容への不満。
上司や同僚への怒り。
派遣社員の不始末をフォローするために、何度も発生する残業。
仕事から帰る頃には心の余裕がなくなり、家では強い言葉ばかり使っていました。
最初は、妻も僕の愚痴を聞いてくれていました。
しかし、毎日のように悪口や不満を聞かされれば、聞く側も疲れてしまいます。
少しずつ夫婦関係も悪くなり、やがて僕は、家にいても居場所がないように感じるようになりました。
そんなとき、妻から言われたのが、次の言葉です。
「今使っている強い言葉を、少し言い換えてみたら?」
当時の僕は、すぐには受け入れられませんでした。
言葉を変えたところで、仕事内容も上司も会社も変わらない。
それよりも僕は、妻から別の言葉を言ってほしかったのです。
「そんなにつらいなら、会社を辞めてもいいんだよ」
僕が本当に求めていたのは、その一言でした。
それでも妻の提案をきっかけに、普段使っている言葉を少しずつ見直してみました。
すると、仕事が急に楽になったわけではないのに、僕のメンタルは以前よりも安定していきました。
言葉を変えたことで、自分で自分を追い込む回数が減ったのだと思います。
この記事では、仕事のストレスで言葉が荒れていた僕が、どのように言葉を言い換え、考え方や夫婦関係を立て直していったのかを紹介します。
先に結論をお伝えすると、無理にポジティブな言葉を使う必要はありません。
強すぎる言葉を、事実に近い少し穏やかな言葉へ変えるだけでも、心の負担は軽くなる可能性があります。
- 仕事へ行くたびに、僕の言葉は荒れていった
- 仕事のストレスを抱えている人は珍しくない
- 最初は愚痴を聞いてくれた妻との関係も悪くなった
- 妻から「強い言葉を言い換えてみたら」と提案された
- 妻の提案を、僕は素直に受け入れられなかった
- 言葉を変えると、なぜ気持ちまで変わるのか
- その言葉を一番聞いているのは自分自身だった
- 僕が実際に変えた言葉
- 「FIREしたい」から「働き方を変えたい」へ
- 言葉が変わると、目標の見え方も変わった
- 言葉を変えても、すぐに何かが変わったわけではない
- 少しずつ、メンタルが安定するようになった
- 妻との関係も少しずつ変わっていった
- 「会社を辞めてもいい」と言ってくれなかった妻への見方も変わった
- 今でもネガティブな言葉を使う日はある
- FIREは「会社から逃げるための目標」ではなくなった
- 言葉を変えるだけですべて解決するわけではない
- まとめ|自分にかける言葉を、少しだけ優しくしてみる
- 次に読んでほしい記事
- 参考資料
仕事へ行くたびに、僕の言葉は荒れていった

休職から仕事へ復帰した頃の僕は、会社へ行くだけで大きな負担を感じていました。
朝から調子が悪い。
会社に着くと緊張する。
何か問題が起きると、必要以上にイライラする。
それでも、仕事を休むわけにはいかないと思っていました。
当時のわが家は、僕の収入を中心に生活する一馬力家庭です。
まだ子どもはいませんでしたが、家計を支えているのは自分だという責任を強く感じていました。
そのため、仕事がつらくても簡単には辞められないと思っていたのです。
ただ、無理をして会社へ行った分、家に帰る頃には心の余裕が残っていませんでした。
上司や同僚への悪口が増えていった
帰宅すると、僕は妻にその日の出来事を話していました。
最初は、今日あったことを共有する程度だったと思います。
しかし、だんだんと言葉が強くなっていきました。
「上司は現場のことを何も分かっていない」
「なんで僕ばかり対応しなきゃいけないんだ」
「また派遣さんの不始末のフォローだよ」
「結局、今日もそのせいで残業になった」
「こんな会社、早く辞めたい」
特に負担だったのは、派遣社員の仕事で問題が起きたときのフォローです。
ミスや不備があると、最後は僕が対応することが少なくありませんでした。
自分の仕事が終わっていても、問題を片付けるために残業する。
それが何度も続くうちに、僕の中には不公平感がたまっていきました。
もちろん、当時の僕から見た話です。
相手にも事情があり、僕には見えていなかった部分があったと思います。
それでも、その頃の僕には周囲の事情を考える余裕がありませんでした。
自分だけが損をしている。
自分だけが苦しんでいる。
そんな気持ちが、悪口や強い言葉になって表れていました。
「早くFIREして辞めてやる」が口癖だった
仕事の愚痴と一緒に、僕が毎日のように口にしていた言葉があります。
「早くFIREして、会社員なんて辞めてやる」
FIREとは、資産運用などによって経済的な余裕をつくり、働き方の自由度を高める考え方です。
今でも僕は、資産形成を続けながらサイドFIREを目指しています。
ただし、当時と現在では、FIREという言葉に込めている意味が違います。
当時の僕にとってFIREは、理想の暮らしを実現するための目標というより、嫌な会社から逃げるための言葉になっていました。
「早く会社を辞めたい」
「もう会社員は無理だ」
「FIREすれば全部解決する」
「こんな会社、絶対に辞めてやる」
同じような言葉を、毎晩繰り返していました。
本来、FIREは働き方や暮らし方の選択肢を増やすための考え方です。
しかし当時の僕は、会社への怒りを確認するためにFIREという言葉を使っていました。
口にするたびに、会社への嫌悪感が強くなる。
会社への嫌悪感が強くなるほど、次の日の出勤がつらくなる。
そして、帰宅するとまた同じ言葉を繰り返す。
知らないうちに、そんな悪循環に入っていたのだと思います。
現在の僕が目指しているFIREについては、FIREの種類をやさしく比較した記事でまとめています。
また、会社をすぐに辞めるのではなく、資産を背景に会社員としての負担を少しずつ減らす考え方は、窓際FIREとは?コーストFIREの次に目指す会社員の働き方で紹介しています。
仕事のストレスを抱えている人は珍しくない
仕事のことで毎日イライラしていると、
「自分は社会人に向いていないのではないか」
「みんな普通に働いているのに、どうして僕だけ苦しいのだろう」
と考えてしまうことがあります。
しかし、仕事や職業生活に強いストレスを感じている人は、決して珍しくありません。
厚生労働省が公表した令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」では、現在の仕事や職業生活について、強い不安・悩み・ストレスとなっている事柄があると答えた労働者は68.3%でした。
現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は68.3%。
出典:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」
確認日:2026年8月1日
働く人のおよそ3人に2人が、仕事に関する強いストレスを感じている計算です。
だからといって、苦しい状態を我慢してよいわけではありません。
ただ、仕事がつらいと感じているのは、自分が弱いからだと決めつける必要もありません。
仕事でストレスを感じることと、そのストレスを家でどのように表現するかは、分けて考える必要があります。
僕は仕事で傷つき、疲れていました。
その苦しさは本物です。
一方で、その苦しさを理由に、妻へ毎日強い言葉を浴びせてよかったわけではありません。
当時の僕には、この2つを分けて考える余裕がありませんでした。
最初は愚痴を聞いてくれた妻との関係も悪くなった
最初のうちは、妻も僕の話を聞いてくれていました。
僕が仕事で苦しんでいることを理解しようとしてくれていたのだと思います。
それでも、毎日のように同じ愚痴や悪口を聞き続けるのは負担です。
僕が妻に話していたのは、明るい話ではありません。
上司への怒り。
同僚への不満。
派遣社員のミス。
残業への苛立ち。
会社を辞めたいという話。
早くFIREしたいという話。
妻からすれば、仕事から帰ってきた夫が、毎日会社への怒りを吐き出している状態です。
話を聞いても状況は変わらない。
助言をしても、僕は素直に受け取れない。
それでも翌日になると、また同じような話が始まる。
今振り返れば、妻もどう対応すればよいのか分からなくなっていたと思います。
僕は妻を「感情の受け皿」にしていた
当時の僕は、妻に愚痴を聞いてもらうことで、気持ちを外へ出しているつもりでした。
しかし実際には、自分の中にある怒りや苦しさを、そのまま妻に渡していただけだったのかもしれません。
僕は話したことで少し楽になる。
一方で、妻の中には僕の怒りや不満が残っていく。
その積み重ねによって、家の空気は少しずつ悪くなりました。
妻の反応も、以前とは変わっていきました。
僕の話を聞いても返事が少ない。
またその話か、という空気を感じる。
お互いに会話を避けるようになる。
すると僕は、さらに孤独を感じました。
「会社でも苦しいのに、家でも分かってもらえない」
「僕にはどこにも居場所がない」
そう考えるようになりました。
ただ、今なら分かります。
家に居場所がなくなったように感じた原因のすべてが、妻にあったわけではありません。
僕自身が、会社で抱えた怒りを毎日家へ持ち帰り、安心できるはずの場所を少しずつ苦しい場所に変えていました。
妻から「強い言葉を言い換えてみたら」と提案された

夫婦関係が悪くなっていたある日、妻から一つの提案がありました。
「今言っている強い言葉を、別の言葉に言い換えてみたら?」
妻は、僕が仕事の話をすること自体を禁止したわけではありません。
「愚痴を言うな」と言ったわけでもありません。
ただ、僕が使っていた言葉があまりにも強く、その言葉によって僕自身も苦しくなっているのではないかと考えたようです。
言葉には、それぞれイメージがあります。
例えば、
- 最悪
- 終わった
- もう無理
- 辞めてやる
- すべて嫌だ
といった言葉には、逃げ道がなく、すべてを否定するような強さがあります。
仕事で一つ嫌なことがあっただけでも、
「今日は最悪だった」
と言えば、その日一日がすべて悪かったように感じます。
少し難しい仕事が続いただけでも、
「もう無理だ」
と言えば、自分には対応する力が残っていないように感じます。
妻は、そうした言葉をもう少し事実に近い表現へ変えたらどうか、と提案してくれました。
妻の提案を、僕は素直に受け入れられなかった
妻の提案を聞いたとき、僕は「確かにそうだね」とは言えませんでした。
むしろ、反発する気持ちがありました。
僕は毎日、つらい思いをしながら会社へ行っている。
仕事では問題の後始末をして、残業までしている。
それなのに、妻から言われたのは、僕の言葉遣いを直したらどうかという提案でした。
当時の僕は、次のように感じました。
「悪いのは僕の言葉じゃなくて、会社の環境だ」
「僕はこんなに苦しんでいるのに、どうして言葉遣いを注意されなければいけないんだ」
言葉を変えることは、自分の苦しみを小さく扱うことのようにも感じました。
本当は「会社を辞めてもいい」と言ってほしかった
僕が妻に求めていたのは、言い換えの提案ではありませんでした。
本当は、こう言ってほしかったのです。
「そんなにつらいなら、会社を辞めてもいいんだよ」
当時はまだ子どもがおらず、夫婦二人で暮らしていました。
僕は一馬力で家計を支えていましたが、その分、妻には僕よりも心の余裕があるはずだと勝手に思っていました。
だから妻に、次のような気持ちを伝えました。
「僕はこんなに苦しんでいる」
「毎日、無理をして会社へ行っている」
「それなのに、一番言ってほしい『会社を辞めてもいい』という言葉を言ってもらえないのが苦しい」
今振り返ると、妻にも不安があったはずです。
僕が会社を辞めた後の生活。
収入がなくなることへの心配。
夫婦の将来。
そして、毎日不安定になっていく僕を見守る苦しさ。
僕は「妻には余裕があるはず」と考えていました。
しかし、それは妻の立場や気持ちを十分に想像できていなかった、当時の僕の一方的な見方でした。
妻は僕を責めたかったわけではなかった
妻は、僕のつらさを否定したかったわけではなかったと思います。
会社を辞めさせたくなかったから、言葉遣いの話にすり替えたわけでもありません。
毎日、
「最悪」
「もう無理」
「会社を辞めてやる」
と繰り返す僕を見て、言葉によって僕自身がさらに苦しくなっていることに気付いていたのだと思います。
仕事の環境をすぐに変えることは難しい。
上司や同僚を変えることもできない。
それでも、今使っている言葉なら、少しずつ変えられるかもしれない。
妻は、僕が変えられる部分を一緒に探そうとしてくれていたのではないでしょうか。
僕が求めていたのは「会社を辞めてもいい」という許可でした。
一方、妻が差し出してくれたのは、今の状況を少しでも楽に生きるための方法でした。
当時は、その違いを理解できませんでした。
それでも後になって、妻が提案してくれた「言葉の言い換え」を少しずつ試すようになります。
そして僕は、口にする言葉が相手だけでなく、自分の感情にも影響していることに気付き始めました。
言葉を変えると、なぜ気持ちまで変わるのか

妻に言われて言葉を見直し始めた僕ですが、最初から心理学の知識があったわけではありません。
ただ実際にやってみると、少しずつ気持ちの変化を感じるようになりました。
後から調べてみると、この経験と近い考え方が心理学にもありました。
その一つが、認知行動療法(CBT)です。
認知行動療法とは、物事の受け止め方や考え方に目を向け、気分や行動を整えていく心理療法の一つです。
厚生労働省の「こころの耳」では、感情が動いたときに瞬間的に頭に浮かぶ考えを「自動思考」と呼んでいます。
私たちの感情は、そのときのとっさの考え、自動思考の影響を受けて変化します。
出典:厚生労働省「こころの耳 15分でわかる認知行動変容アプローチ」
確認日:2026年8月1日
例えば、仕事でミスが起きたとします。
起きた出来事自体は同じでも、
「最悪だ。全部終わった」
と考えるのと、
「困ったな。まず対応できるところからやろう」
と考えるのでは、その後の気持ちはかなり違います。
僕が妻から言われた「言葉を言い換えてみたら?」という提案も、これに近かったのだと思います。
仕事で起きている出来事そのものを、無理やり良い出来事として考える必要はありません。
出来事に対して自分が付けている言葉を、少し事実に近づける。
それだけでも、必要以上に自分を追い込まずに済むことがあります。
無理にポジティブになる必要はない
ここで僕が大切だと思っているのは、何でもポジティブに考えることではありません。
嫌なことがあったのに、
「最高!」
「全部うまくいっている!」
と思い込もうとしても、僕にはできませんでした。
むしろ、現実とのギャップが大きすぎて苦しくなります。
厚生労働省の「こころの耳」でも、気持ちをポジティブにするために良い情報だけを見るのではなく、良いことも良くないことも含めて情報を集めることが紹介されています。
何が起きているのか、良いことも良くないことも含めて情報を集めることができると、気持ちが落ち着いてきて、問題に対処しやすくなるとされています。
出典:厚生労働省「こころの耳 15分でわかる認知行動変容アプローチ」
確認日:2026年8月1日
僕がやったことも、それほど難しいものではありません。
強すぎる言葉を、一段階だけ弱い言葉へ変える。
それだけでした。
その言葉を一番聞いているのは自分自身だった
妻から言われて、一番印象に残った考え方があります。
それは、
「自分が口にした言葉を、一番聞いているのは自分自身」
ということです。
僕は毎日のように、
- 最悪
- もう無理
- 会社を辞めたい
- 早くFIREしたい
- こんな会社、終わっている
と言っていました。
もちろん、口にした言葉をそのまま脳が事実として信じ込む、と単純に言い切れるものではありません。
ただ、自分自身への語りかけであるセルフトークは、感情の調整との関係が研究されています。
2017年に発表された研究では、自分について考えるときに「僕」「私」と考えるのではなく、自分の名前などを使って少し距離を取って考えることで、ネガティブな感情反応が抑えられる可能性が示されました。
また2024年の研究では、自分自身の声を使ったセルフトークと感情調整に関係する脳活動についても調べられています。
セルフトークは、自分自身に向けた言葉による働きかけであり、感情調整や自己コントロールとの関係が研究されています。
参考:Moser JS, et al. Scientific Reports, 2017
参考:Jo HJ, et al. Brain Sciences, 2024
確認日:2026年8月1日
ここで大切なのは、
「ネガティブな言葉を使ったら病気になる」といった単純な話ではないということです。
僕が伝えたいのは、もっと日常的な話です。
毎日「最悪」「無理」「辞めたい」と言い続けていると、それだけ嫌な出来事について考える時間も増えます。
仕事が終わって家に帰っても、頭の中ではまだ会社の出来事を反復している。
僕の場合は、愚痴を話すことでストレスを外へ出しているつもりでした。
でも実際には、話すたびにその日の嫌な出来事をもう一度思い出していました。
会社で一度嫌な思いをする。
帰りの車で思い出す。
家で妻に話す。
寝る前にも考える。
翌朝、「また会社か」と思う。
嫌な出来事を、自分の言葉によって何度も再生していたのです。
僕にとって「言葉を変える」というのは、この反復を少し弱める方法だったのだと思います。
僕が実際に変えた言葉

では、具体的に何を変えたのか。
僕の場合は、次のような言い換えを意識しました。
| 以前よく使っていた言葉 | 今意識している言葉 |
|---|---|
| 疲れた | 今日も頑張った! |
| 最悪だ | 今日は大変だったな |
| もう無理 | 今日はここまでにしよう |
| なんで僕ばっかり | 今回は僕が対応する場面だったな |
| 会社を辞めたい | 働き方を変えたい |
| 早くFIREしたい | 将来、働き方を選べる状態をつくりたい |
特に大きかったのは、
「疲れた」→「今日も頑張った!」
という言い換えです。
疲れている事実は変わりません。
でも、
「今日も疲れた……」
と言って一日を終えるのと、
「今日も頑張った!」
と言って一日を終えるのでは、僕にはかなり違いがありました。
前者は、疲労だけに目が向きます。
後者なら、
「疲れたけれど、それだけ今日はやったんだな」
と、自分の行動も認められます。
大げさに自分を褒める必要はありません。
同じ一日でも、どこに言葉を当てるかを少し変える。
僕には、それくらいがちょうどよかったです。
「最悪」ではなく「今日は大変だった」
もう一つ、意識して減らしたのが「最悪」という言葉です。
例えば、仕事でトラブルが起きて残業になったとします。
以前の僕なら、家に帰って、
「今日は最悪だった」
と言っていました。
でも冷静に考えると、本当に一日すべてが最悪だったわけではありません。
朝ごはんは普通に食べられた。
仕事でも問題が起きるまでは普通だった。
帰り道は無事に帰ってこられた。
家には妻がいる。
嫌だったのは、仕事中に起きた一部の出来事です。
だから、
「今日は最悪だった」
ではなく、
「今日は仕事で大変なことがあった」
と言うようにしました。
ほんの少しの違いです。
でも、後者なら一日全部を否定しなくて済みます。
「FIREしたい」から「働き方を変えたい」へ

僕にとって、最も大きな言い換えだったのがFIREに関する言葉です。
以前は、
「早くFIREして、会社員を辞めてやる」
が口癖でした。
でも今は、なるべく、
「働き方を変えたい」
と考えるようにしています。
この二つは似ているようで、僕の中ではまったく違います。
「会社を辞めてやる」は、今の会社が中心です。
嫌な会社があって、そこから離れることがゴールになります。
一方、
「働き方を変える」は、未来の自分が中心です。
- どれくらい働きたいのか
- どんな仕事なら続けたいのか
- 家族との時間をどれくらい取りたいのか
- 生活にはいくら必要なのか
- 資産はいくらあれば安心できるのか
そんなことを考えられるようになります。
会社から逃げるためのFIREから、自分の人生を選ぶためのFIREへ。
僕の中では、少しずつ意味が変わっていきました。
今でも会社員をずっと続けたいとは思っていません。
現在は、45歳頃を一つの目安にサイドFIREを目指しています。
ただ、以前のように、
「一刻も早く辞めなければ幸せになれない」
とは考えなくなりました。
会社員として働く時間を利用して資産を増やす。
家族との生活も大切にする。
そして、無理のないタイミングで働き方を変える。
そんな選択でもいいと思えるようになりました。
僕が考えているサイドFIREについては、子持ち家庭でサイドFIREを目指す僕の考え方でも詳しく書いています。
また、完全に会社を辞める前に、資産を背景として会社との距離を少しずつ変えていく考え方は、窓際FIREとは?コーストFIREの次に目指す会社員の働き方でまとめています。
言葉が変わると、目標の見え方も変わった
僕は今でもFIREを目指しています。
資産形成も続けています。
だから、やっていることだけを見れば昔とそれほど変わっていません。
でも、その理由は変わりました。
以前は、
会社が嫌だからFIREしたい。
でした。
今は、
家族と穏やかに暮らしながら、自分に合った働き方を選べるようになりたい。
です。
資産形成という行動は同じです。
それでも、使う言葉が変わったことで、目標の見え方まで変わりました。
以前のFIREは、僕にとって会社から逃げるための非常口でした。
今のFIREは、人生の選択肢を増やすための準備です。
この違いは、僕にとってとても大きなものでした。
言葉を変えても、すぐに何かが変わったわけではない
ここまで読むと、
「言葉を変えたら、すぐにメンタルが安定したの?」
と思うかもしれません。
もちろん、そんなことはありませんでした。
言葉を変えたところで、会社は変わりません。
仕事内容も変わりません。
苦手な人が突然いなくなるわけでもありません。
仕事で問題が起きれば、やっぱりイライラします。
残業になれば疲れます。
そして何より、何年も使ってきた言葉は簡単には変わりません。
最初の頃は、気付いたら、
「疲れた……」
と言っていました。
そこで、
「あ、また言ってるな」
と気付いて、
「今日も頑張った!」
と言い直す。
それくらいです。
「会社辞めたい」と言ってしまうこともありました。
そんなときも、
「会社を辞めたいというより、僕は働き方を変えたいんだ」
と言い直しました。
最初からできなくても、気付いたときに言い直せばいい。
僕はそのくらいの気持ちで続けました。
少しずつ、メンタルが安定するようになった
言葉を変え始めてから、ある日突然、
「今日から僕は変わった!」
という瞬間があったわけではありません。
むしろ、変化はかなりゆっくりでした。
でも、振り返ってみると以前とは違います。
嫌なことがあっても、一日全部を否定することが減りました。
仕事で問題が起きても、以前ほど長い時間引きずらなくなりました。
そして、会社で起きたことを家まで持ち帰る回数も少しずつ減っていきました。
僕にとって大きかったのは、ネガティブな感情がなくなったことではありません。
ネガティブな感情から戻ってくるまでの時間が短くなったことです。
嫌なことがあれば、今でも嫌です。
腹が立つこともあります。
落ち込むこともあります。
でも、
「今日は大変だった。でも、一日は終わった」
と区切れる日が増えました。
これは僕にとって、とても大きな変化でした。
妻との関係も少しずつ変わっていった
僕が強い言葉を減らすようになると、家での会話も少しずつ変わっていきました。
以前の僕は、帰宅すると会社の話ばかりしていました。
今日こんなことがあった。
あの人がまたミスをした。
上司がこんなことを言った。
残業になった。
会社を辞めたい。
早くFIREしたい。
僕の頭の中は会社でいっぱいでした。
会社にいる時間だけではありません。
家に帰ってからも、僕の時間を会社に使っていたのです。
それに気付いてから、会社の愚痴を話す時間そのものも減らすようになりました。
もちろん、嫌なことがあれば妻に話すことはあります。
でも、一通り話したら終わり。
その後は、家族の時間に戻る。
そんな切り替えが少しずつできるようになりました。
妻が求めていたのは「愚痴を言わない僕」ではなかった
今振り返ると、妻は僕に、
「二度と愚痴を言わないで」
と言いたかったわけではないと思います。
仕事でつらいことがあれば、家族に話してもいい。
弱音を吐いてもいい。
僕自身、今でもそうしています。
ただ、
毎日同じ怒りを何度も繰り返し、その感情を家族にも背負わせる。
そこには違いがあります。
当時の僕は、その違いが分かっていませんでした。
妻は僕を変えたかったというより、僕自身と家族を守りたかったのかもしれません。
そう思えるようになったのも、ずっと後になってからです。
「会社を辞めてもいい」と言ってくれなかった妻への見方も変わった
当時の僕には、妻に対する不満がありました。
僕はこんなに苦しんでいる。
毎日、無理をして会社へ行っている。
それなのに、どうして、
「そんなにつらいなら会社を辞めてもいいよ」
と言ってくれないのだろう。
僕はそれが寂しかったし、苦しかったです。
でも、今なら妻の立場も少し想像できます。
「辞めてもいいよ」と言うのは簡単です。
でも、本当に会社を辞めれば収入は変わります。
生活も変わります。
将来の計画も変わります。
そして、僕自身が会社を辞めることで本当に元気になるのかも分かりません。
妻も不安だったはずです。
それなのに当時の僕は、
「僕がこれだけ苦しいんだから、妻は僕の望む言葉を言ってくれるべきだ」
という気持ちになっていました。
今なら、少し違う見方ができます。
妻は僕の人生を代わりに決めるのではなく、僕自身が少し楽に生きられる方法を一緒に探してくれていた。
その一つが、
「強い言葉を言い換えてみたら?」
だったのだと思います。
今でもネガティブな言葉を使う日はある
ここまで書いてきましたが、僕は今でも完璧ではありません。
仕事で嫌なことがあればイライラします。
疲れたら、
「疲れた……」
と言ってしまう日もあります。
会社を辞めたいと思うことだってあります。
それでいいと思っています。
僕が目指しているのは、ネガティブな感情をなくすことではありません。
自分の感情に気付き、必要以上に自分を追い込まないこと。
そのために、言葉を使っています。
ネガティブな言葉を禁止しない
これは、僕が続けるうえでかなり大切だったことです。
「疲れたと言ってはいけない」
「愚痴を言ってはいけない」
「前向きに考えなければいけない」
こんなルールにすると、それ自体が新しいストレスになってしまいます。
だから僕は、禁止しません。
「疲れた」と言ったら、
「うん、疲れた。でも今日も頑張った!」
と付け足せばいい。
「会社辞めたい」と思ったら、
「そうだな。だから僕は、働き方を変えられるように準備しているんだ」
と考える。
ネガティブな気持ちを否定するのではなく、その後にどんな言葉を続けるかを意識しています。
FIREは「会社から逃げるための目標」ではなくなった
この経験は、僕のFIREに対する考え方にも大きく影響しました。
以前の僕にとってFIREは、
「嫌な会社を辞めるための手段」
でした。
だから資産額を見るたびに、
「まだ辞められない」
と考えていました。
資産が増えているのに、安心するどころか焦っていたのです。
でも今は、
FIREは自分と家族が暮らし方・働き方を選べるようにするための準備だと考えています。
会社員を完全に辞める必要もありません。
働く時間を減らしてもいい。
責任の軽い働き方を選んでもいい。
好きな仕事を少しだけ続けてもいい。
僕が目指しているのは、働かないことではなく、働き方を選べる状態です。
そのため、現在は完全FIREではなく、サイドFIREを一つの目標にしています。
子どもがいる家庭でFIREを目指す僕の考え方については、子持ち家庭でサイドFIREを目指す僕の考え方でも詳しくまとめています。
また、完全に会社を辞める前に、資産を背景に会社との距離を調整する方法として、僕は窓際FIREという働き方も考えています。
言葉を変えるだけですべて解決するわけではない
最後に、これはしっかり書いておきたいと思います。
言葉を変えれば、仕事の悩みがすべて解決するわけではありません。
職場環境そのものに問題があることもあります。
働き方を変えたほうがいい場合もあります。
休むことが必要な場合もあります。
僕自身、休職を経験しました。
だからこそ、
「考え方を変えれば仕事なんて耐えられる」
とは思いません。
僕にとって言葉を変えることは、会社に耐えるための方法ではありませんでした。
会社で受けたストレスを、必要以上に自分や家族へ広げないための方法だったのだと思います。
それでもつらい状態が続くのであれば、一人で抱え込まず、家族や信頼できる人、会社の相談窓口、医療機関などへ相談することも選択肢です。
厚生労働省の「こころの耳」では、働く人や家族向けに、ストレスへの対処方法や相談窓口などの情報がまとめられています。
出典:厚生労働省「こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
確認日:2026年8月1日
まとめ|自分にかける言葉を、少しだけ優しくしてみる

休職から復帰した頃の僕は、毎日のように強い言葉を使っていました。
「最悪」
「もう無理」
「会社辞めたい」
「早くFIREして会社員なんて辞めてやる」
会社で嫌なことがあれば、家に帰って妻へ話す。
その言葉を自分でも聞く。
また会社のことを考える。
そして、さらに気持ちが沈んでいく。
僕はそんな悪循環に入っていました。
それを変えるきっかけをくれたのが、妻の、
「強い言葉を、少し言い換えてみたら?」
という提案でした。
僕が今でも意識しているのは、難しいことではありません。
| 以前 | 今 |
|---|---|
| 疲れた | 今日も頑張った! |
| 最悪 | 今日は大変だった |
| もう無理 | 今日はここまでにしよう |
| 会社を辞めたい | 働き方を変えたい |
| 早くFIREしたい | 働き方を選べる状態をつくりたい |
無理にポジティブになる必要はありません。
「最悪」を「最高」に変える必要もありません。
強すぎる言葉を、現実に近い少し穏やかな言葉へ変える。
それくらいでいいと僕は思っています。
言葉を変えたからといって、人生が劇的に変わったわけではありません。
会社も変わりませんでした。
嫌なことだって今でもあります。
それでも僕は、自分を追い込む回数が以前より減りました。
そして、会社で起きた嫌な出来事を、家族との時間まで持ち込むことも減りました。
もし今、
「最悪」
「もう無理」
「全部嫌だ」
という言葉が増えているなら、一つだけ言い換えてみてください。
僕なら、まずはこれがおすすめです。
「疲れた……」
↓
「今日も頑張った!」
疲れたという事実は変わりません。
でも、その一日の見え方は少しだけ変わります。
自分が発した言葉を聞いているのは、自分自身でもあります。
だから僕はこれからも、自分と家族のために、普段使う言葉を少しだけ優しいものにしていきたいと思います。
次に読んでほしい記事
僕はこの経験から、「会社を辞めること」よりも「働き方を選べること」を目指すようになりました。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」(確認日:2026年8月1日)
- 厚生労働省「こころの耳 15分でわかる認知行動変容アプローチ」(確認日:2026年8月1日)
- 厚生労働省「こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」(確認日:2026年8月1日)
- Moser JS, et al. Third-person self-talk facilitates emotion regulation without engaging cognitive control. Scientific Reports. 2017.(確認日:2026年8月1日)
- Jo HJ, et al. Brain Sciences. 2024.(確認日:2026年8月1日)
※この記事は、僕自身の経験をもとにした体験談です。言葉の言い換えによる効果には個人差があります。心身の不調が続いている場合は、必要に応じて医療機関や専門家へ相談してください。
