「普通に生きたい」と思っていました。

大きな成功を望んでいたわけではありません。

普通に働いて、普通に暮らして、家族と穏やかに過ごしたい。

ただ、それだけでした。

それなのに、気づけば「普通に生きること」が、どんどん難しく感じるようになっていました。

昇進は遅れ、同期や後輩に追い抜かれる。

SNSを開けば、同年代の人が家を建て、旅行へ行き、仕事でも活躍している。

そのたびに、自分だけが取り残されたような気持ちになりました。

「どうして自分は、普通のことすらできないんだろう」

そんなふうに、自分を責めていました。

でも今は、少し違う考え方をしています。

苦しかった原因は、僕が普通ではなかったからではありません。

他人が決めた普通を、すべて満たそうとしていたからです。

この記事では、「普通に生きるのが難しい」と感じていた僕が、他人の普通を手放し、自分なりの基準を作るまでの考え方をまとめます。

普通に生きるのが難しいと感じるあなたへ

最初に伝えたいことがあります。

普通に生きるのが難しいと感じるのは、あなただけではありません。

世の中で言われる「普通」には、たくさんの条件が含まれています。

  • 安定した会社で働く
  • 周囲と同じように昇進する
  • 人並みの収入を得る
  • 結婚する
  • 子どもを育てる
  • マイホームを購入する
  • 老後のお金を準備する
  • 家事や育児もきちんとこなす
  • 休日には趣味や旅行を楽しむ
  • 家族や職場の人とうまく付き合う

これらをすべて同時にこなそうとしたら、苦しくなるのも当然です。

体力も、性格も、家庭環境も、収入も、人によって違います。

同じ条件で生きている人は、ひとりもいません。

それなのに、同じ「普通」を目指そうとすると、どこかで無理が生まれます。

普通になれないのではなく、自分に合わない普通を追いかけているだけかもしれません。

「自分だけが取り残されている」と感じる人は、決して少なくありません。

内閣府の「令和7年 人々のつながりに関する基礎調査」では、孤独を感じることが次のように回答されています。

孤独を感じる頻度割合
しばしばある・常にある4.5%
時々ある13.7%
たまにある19.5%
合計37.7%

程度の違いはありますが、およそ10人に4人が孤独を感じることがあると答えています。

もちろん、孤独を感じることと、「普通に生きるのが難しい」と感じることは、まったく同じではありません。

それでも、周囲から取り残されたように感じたり、自分だけがうまくいっていないと思ったりする悩みは、特別なものではないと分かります。

出典:内閣府「令和7年 人々のつながりに関する基礎調査」
調査結果の概要を見る
確認日:2026年7月11日

「普通」の正体は、誰かの理想の寄せ集め

普通とは、何でしょうか。

辞書では、特別ではないことや、一般的な状態という意味で使われます。

しかし、日常生活の中で使われる普通は、もっと曖昧です。

「これくらいできて普通」

「この年齢なら、これくらい稼いで普通」

「結婚したら、家を買うのが普通」

誰かが自分の経験や価値観をもとに決めた基準が、いつの間にか「みんなの普通」のように扱われています。

普通の条件は増え続ける

ひとつの普通を達成しても、それで終わりではありません。

就職したら、次は昇進。

結婚したら、次は家や子ども。

お金を貯めたら、次は投資や老後資金。

周囲を基準にしている限り、普通の条件は増え続けます。

僕もずっと、

「ここまで頑張れば安心できる」

と思っていました。

しかし、ひとつ達成すると、また別の基準が見えてきます。

追いかけても、追いかけても終わりませんでした。

すべてを同時に満たす必要はない

SNSや周囲の人を見ていると、みんなが順調に見えます。

Aさんは仕事で活躍している。

Bさんはすてきな家を建てた。

Cさんは家族で旅行を楽しんでいる。

それぞれの人の目立つ部分だけを集めると、何もかも手に入れている「理想の普通」が出来上がります。

でも、それはひとりの人生ではありません。

たくさんの人の、うまくいっている部分を組み合わせた姿です。

その理想と自分を比べれば、足りないものばかりに見えてしまいます。

すべてを持っていなくても大丈夫です。

自分が大切にしたいものを、少しずつ守れたら十分だと思います。

僕も他人の普通に追いつこうとして苦しくなった

僕は長い間、自分の普通を他人の中に探していました。

同期と比べる。

同僚と比べる。

年下の社員と比べる。

そして、自分が上なのか、下なのかを確認していました。

昇進や給料で自分の価値を決めていた

僕は、周囲より昇進がかなり遅れていました。

10歳以上年下の社員に、等級や給料で追い抜かれたこともあります。

正直、悔しかったです。

一生懸命働いているつもりなのに、結果につながらない。

会社へ行くだけで、自分の価値を否定されているように感じる日もありました。

いつの間にか僕の中では、次のような考え方になっていました。

  • 周囲より上なら安心
  • 周囲より下なら失敗
  • 昇進できれば価値がある
  • 昇進できなければ価値がない

でも、本当は昇進だけで人の価値は決まりません。

仕事の評価は、その会社や部署の中での評価です。

家族にとっての自分や、これまで積み重ねてきたものまで否定されるわけではありません。

頭では分かっていても、当時の僕にはなかなか切り替えられませんでした。

仕事や評価に悩んでいるのは、僕だけではありません。

厚生労働省の「令和6年 労働安全衛生調査」では、仕事や職業生活について、強い不安や悩み、ストレスを感じる事柄がある労働者は68.3%でした。

年齢別では、次のようになっています。

年齢強いストレスがある人の割合
20~29歳64.9%
30~39歳73.3%
40~49歳73.0%
50~59歳69.4%
60歳以上53.2%

30代と40代では、7割以上の人が仕事に関する強いストレスを抱えています。

ストレスの内容は「仕事の量」が43.2%と最も多く、「仕事の失敗、責任の発生等」が36.2%と続いています。

仕事の評価や責任に苦しむことは、本人の弱さだけが原因ではありません。

多くの人が、仕事と生活の間で悩みながら働いています。

出典:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」
調査結果の概要を見る
確認日:2026年7月11日

SNSを見るたびに取り残された

SNSを開くと、同年代の人が次々と家を建て、昇進し、旅行へ行っていました。

楽しそうな家族写真。

新しい家や車。

増えていく資産。

仕事での成功。

それを見るたびに、

「みんなは前に進んでいる」

「自分だけが止まっている」

と感じていました。

でも、SNSに投稿されるのは、その人の生活の一部分です。

僕自身も、苦しい日より、うまくいったことを投稿する方が多いです。

それでも当時は、画面に表示される生活が、その人のすべてに見えていました。

普通を追いかけるほど苦しくなる理由

普通を求めること自体が、悪いわけではありません。

周囲と同じであれば、安心できることもあります。

しかし、普通を自分の価値を測る基準にしてしまうと、少しずつ苦しくなります。

比較には終わりがない

自分より上に見える人は、どこにでもいます。

昇進できても、さらに上の役職があります。

資産が増えても、自分より多く持っている人がいます。

家を買っても、もっと広くて新しい家があります。

比較を基準にしている限り、安心できる場所にはなかなか到着できません。

比較を完全になくすことは難しいです。

僕も今でも比べてしまいます。

大切なのは、比べている自分に気づき、少しずつ自分の生活へ意識を戻すことです。

自分の幸せを他人の評価に預けてしまう

周囲から「すごい」と言われることだけを目指すと、自分が本当に望んでいる暮らしが分からなくなります。

本当は出世より、家族と過ごす時間を大切にしたいかもしれません。

大きな家より、住宅費を抑えて安心して暮らしたいかもしれません。

年収を上げることより、体調を崩さず働きたいかもしれません。

どれも間違いではありません。

他人から見てどう思われるかではなく、自分が無理なく続けられるかで考えていいと思います。

「できていること」が見えなくなる

足りないものばかり見ていると、すでに持っているものが見えなくなります。

僕にも、できていないことはたくさんあります。

でも、家族と生活できている。

毎日仕事へ行っている。

家事や育児をしている。

家計を整え、少しずつ資産を作ってきた。

苦しい中でも、そのときにできることを続けてきました。

周囲と比べれば、小さなことに見えるかもしれません。

しかし、自分の生活を支えている大切な積み重ねです。

自分に合った「普通」を作る5つの方法

他人の普通を手放すといっても、急に考え方を変えるのは難しいです。

僕も、何度も比較しては落ち込んでいます。

ここでは、自分に合った普通を考えるために、僕が意識していることを5つ紹介します。

1.「したい」と「すべき」を分ける

まず、自分の中にある希望を書き出します。

そのときに、次の3つを分けてみます。

  • 自分が本当にしたいこと
  • 周囲から求められている気がすること
  • 何となく「すべき」と思っていること

例えば、次のように考えます。

考えていること自分への質問
昇進したい本当に仕事の責任を増やしたい?
家を買いたい家が欲しい?周囲と同じになりたい?
もっと稼ぎたい何に使うためのお金?
頑張らないといけない誰がそう決めた?

本当に望んでいることなら、目指していいと思います。

ただし、「普通はそうするものだから」という理由だけなら、一度立ち止まっても大丈夫です。

2.守りたいものを決める

すべてを大切にしようとすると、時間も体力も足りません。

そこで、自分が特に守りたいものを考えます。

僕の場合は、次のようなものです。

  • 家族と過ごす時間
  • 心と体の健康
  • 生活に困らないお金
  • 夜に安心して眠れること
  • 無理をしすぎない働き方

優先順位が分かると、手放してもよいものが見えてきます。

3.手放しても困らないものを考える

守りたいものを決めたら、反対に手放せるものも考えます。

僕の場合は、次のようなものです。

  • 周囲と同じ速度で昇進すること
  • 大きな家を持つこと
  • 人からすごいと思われること
  • すべてを完璧にこなすこと

もちろん、完全に気にならなくなったわけではありません。

今でも昇進の遅れを考えて、落ち込むことがあります。

それでも、

「僕の人生で一番大切なものではない」

と思い直せるようになりました。

4.比較する情報から少し離れる

気持ちが弱っているときは、SNSとの距離を調整します。

  • 見る時間を決める
  • 苦しくなるアカウントをミュートする
  • 起きてすぐSNSを開かない
  • 寝る前はスマホから離れる
  • 自分の生活に意識を戻す

SNSをやめる必要はありません。

僕も情報収集やブログの発信に使っています。

ただ、見るたびに苦しくなるなら、今の自分を守るために少し距離を取っても大丈夫です。

情報を減らすことは、逃げではありません。

他人ではなく、自分の生活へ意識を戻すための調整です。

5.小さな逃げ道を作っておく

逃げ道というと、悪いことのように聞こえるかもしれません。

しかし、僕は逃げ道があるからこそ、無理をしすぎずに済むと思っています。

  • 生活防衛資金を用意する
  • 固定費を下げる
  • 相談できる人を見つける
  • 休暇や休職制度を調べる
  • 転職サイトに登録しておく
  • 働く時間を減らす方法を考える

今すぐ仕事を辞めなくても構いません。

「どうしても難しくなったら、別の道を選べる」

そう思えるだけでも、心の圧迫感は変わります。

お金は普通になるためではなく、選択肢を増やすために使う

僕が自分の軸を取り戻すきっかけになったのは、資産形成でした。

家計簿をつける。

固定費を見直す。

NISAを活用する。

インデックス投資を続ける。

最初は小さな金額でした。

それでも、少しずつ資産が増えることで、

「自分の行動が、将来の安心につながっている」

と感じられるようになりました。

お金が、心の問題をすべて解決してくれたわけではありません。

資産が増えても、仕事で落ち込む日はあります。

人と比べてしまうこともあります。

それでも、お金があることで選べる道は増えました。

  • 無理な残業を断る
  • 一時的に仕事を休む
  • 家族との時間を優先する
  • 働き方を変える準備をする
  • 収入が下がっても生活を守る

僕にとって資産形成は、誰かより上になるための競争ではありません。

自分と家族を守り、無理をしない選択をするための準備です。

izablogで大切にしている考え方は、無理しない・頑張りすぎない・比較しない|izablogで伝えたいことにまとめています。

苦しさが強いときは、ひとりで答えを出さなくていい

「普通に生きられない」と考え続けていると、自分を責める気持ちが強くなることがあります。

  • なかなか眠れない
  • 食欲がなくなった
  • 何をしても楽しめない
  • 涙が出る
  • 仕事へ行くことが難しい
  • 自分には価値がないと感じる

このような苦しさが続いているときは、考え方だけで解決しようとしなくて大丈夫です。

家族や信頼できる人、会社の相談窓口、医療機関などへ相談することも、自分を守る行動です。

厚生労働省では、こころと体のセルフケアとして、体を動かす、気持ちを書き出す、腹式呼吸をする、音楽を聴くといった方法を紹介しています。

出典:厚生労働省「こころと体のセルフケア」
厚生労働省のセルフケア情報を見る
確認日:2026年7月11日

僕自身も、30代で2回休職しました。

休むことへの罪悪感や、お金が減る不安も経験しています。

仕事を休むことや制度に不安がある人は、30代で2回休職した僕が伝えたいこと|休職中のお金と制度の話も読んでみてください。

休むことは、人生を諦めることではありません。

これからの生活を守るために、いったん立ち止まる時間になることもあります。

僕にとっての普通は、家族と静かに暮らせること

僕にとっての普通は、

心穏やかに、家族と安心して暮らせる毎日です。

必ずしも出世しなくていい。

大きな家がなくてもいい。

誰かから、すごいと思われなくてもいい。

朝、家族と顔を合わせる。

仕事から帰り、子どもの姿を見る。

夜に少しだけ、ほっとできる時間がある。

必要なお金を準備しながら、無理をしすぎずに暮らしていく。

それが、僕にとっての「ちょうどいい普通」です。

もちろん、毎日穏やかに過ごせるわけではありません。

仕事で悔しいこともあります。

家事や育児で疲れる日もあります。

将来が不安になる日もあります。

それでも、他人の基準ではなく、

「自分はどんな暮らしを守りたいのか」

と考えられるようになったことで、以前より少しだけ心が軽くなりました。

まとめ:あなたの普通は、あなたが決めていい

普通に生きるのが難しいと感じたときは、次のことを思い出してみてください。

  • 世間の普通をすべて満たす必要はない
  • SNSに見えているのは、その人の生活の一部分
  • 「したいこと」と「すべきこと」を分ける
  • 自分が守りたい暮らしを考える
  • お金や制度で小さな逃げ道を作る
  • 苦しさが強いときは、ひとりで抱え込まない

普通とは、誰かが決めた正解ではありません。

自分と家族が安心して暮らせる形を、自分で決めていいと思います。

出世しなくてもいい。

家を持っていなくてもいい。

人よりゆっくり進んでもいい。

あなたが無理なく続けられる毎日が、あなたにとっての普通です。

普通になろうとして自分を苦しめるのではなく、自分に合った普通を少しずつ作っていきましょう。

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