資産運用は年代より人生のステージ別|預金と投資の考え方
資産運用は、年齢だけで決めるものではありません。
大切なのは、そのお金をいつ使うのかです。
数年以内に使うお金は、預金で確保する必要があります。
一方、10年、20年と使う予定がないお金まで、すべて預金で持ち続けると、物価上昇によって実質的な価値が目減りする可能性があります。
つまり、次のように単純に決められるものではありません。
- 預金だけなら安全
- 投資をすれば安心
- 若い人は株式100%でよい
- 60代から投資を始めても遅い
この記事では、20代・30代・40代という年代だけでなく、人生のステージ別に資産運用の考え方を整理します。
僕がこの記事を書こうと思ったきっかけは、身近な人のお金について考えたことでした。
僕の身近にも、資産の多くを預金で持ち、投資をしていない人がいます。
今は働いて収入があっても、いずれ給与がなくなれば、年金と資産の取り崩しで生活することになります。
だからといって、本人の考えを無視して、無理に投資を勧めるつもりはありません。
投資をするかどうかは、本人が決めることです。
ただし、投資をしないことにもリスクがあるという点は、広く知っておいてよいのではないかと思いました。
この記事は、特定の金融商品や資産配分を勧めるものではありません。
家族構成、収入、年金額、資産額、健康状態などによって、適した方法は異なります。
- 資産運用は年齢より「使うまでの時間」で考える
- 公的統計から見る年代別の貯蓄と負債
- 社会人になったばかり|まずは家計の土台を作る
- 結婚・出産|個人のお金から家族のお金へ変わる
- 住宅購入・子育て|投資と現金のバランスを取る
- 40代・50代|老後までの時間と必要額を確認する
- 50代・退職準備|増やすだけでなく使い方を考える
- 60代・退職移行|投資を始めるには遅いのか
- 年金生活・資産取り崩し|毎月の不足額を把握する
- 僕は生活防衛資金とオルカンの自動売却を続けたい
- 70代以降|資産を増やすより管理しやすくする
- 預金だけで持つことにもリスクがある
- 投資だけに偏るのも危険
- 年代別に一律の資産配分を決めない
- 家族へ投資を勧める前に確認したいこと
- 人生のステージ別・資産運用のまとめ
- まとめ|預金か投資かではなく役割を分けよう
- 次に読む記事
資産運用は年齢より「使うまでの時間」で考える

資産運用を考えるときは、最初に年齢を見るのではなく、お金を使う時期で分けると分かりやすくなります。
| お金を使う時期 | 主な役割 | 考え方の例 |
|---|---|---|
| 数年以内 | 生活費や予定された支出 | 預金を中心に確保する |
| 数年後から10年程度 | 住宅、教育、退職後前半など | 値動きを抑えた資産を中心に考える |
| 10年以上先 | 老後後半や長期の将来資金 | 分散投資を検討する |
| 使う時期が決まっていない | 予備資金や相続資産 | 目的を決めてから運用方法を考える |
これは、あくまで考え方の一例です。
「10年以上使わないなら、必ず投資すべき」という意味ではありません。
大きく値下がりしたときに売らずに待てるか、生活費と分けられているかも重要です。
資産運用の方法を決める主な要素は、次のとおりです。
- お金を使うまでの期間
- 毎月の収入と生活費
- 生活防衛資金の金額
- 住宅ローンなどの負債
- 子どもの教育費
- 退職までの期間
- 受け取れる年金額
- 値下がりに耐えられる範囲
- 自分で資産を管理できるか
同じ60歳でも、働いて収入がある人と、すでに年金だけで生活している人では状況が違います。
同じ30歳でも、独身で大きな支出予定がない人と、数年後に住宅購入を予定している人では、投資に回せる金額が違います。
年齢は一つの目安にすぎません。
最終的には、自分のライフプランから考える必要があります。
僕自身の現金と投資の分け方は、投資で迷わないマイルール5選|オルカンと現金比率の考え方でまとめています。
公的統計から見る年代別の貯蓄と負債
総務省の「家計調査報告」によると、2025年の二人以上世帯における、世帯主の年代別の貯蓄現在高と負債現在高は次のとおりです。
| 世帯主の年代 | 貯蓄現在高 | 負債現在高 | 貯蓄-負債 |
|---|---|---|---|
| 40歳未満 | 994万円 | 1,882万円 | -888万円 |
| 40~49歳 | 1,381万円 | 1,483万円 | -102万円 |
| 50~59歳 | 1,756万円 | 743万円 | 1,013万円 |
| 60~69歳 | 2,843万円 | 234万円 | 2,609万円 |
| 70歳以上 | 2,471万円 | 81万円 | 2,390万円 |
40歳未満と40代では、平均すると貯蓄より負債が多くなっています。
住宅ローンなどを抱えやすい年代であることが、背景の一つと考えられます。
一方、50代以降は負債が減り、貯蓄が負債を上回っています。
また、負債を保有する世帯の割合は、40代が67.0%で最も高くなっています。
ただし、この数字はあくまで平均です。
二人以上世帯全体の貯蓄現在高は平均2,059万円ですが、貯蓄を保有する世帯の中央値は1,264万円でした。
中央値とは、貯蓄額が少ない順に世帯を並べたとき、ちょうど中央に位置する金額です。
平均額だけを見て、「みんな2,000万円以上持っている」と考える必要はありません。
出典:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年平均結果」
確認日:2026年7月26日
この統計からも、人生のステージによって家計の状態が変化していることが分かります。
若いときは資産が少ない代わりに、運用できる時間があります。
子育てや住宅購入の時期は、大きな支出や負債を抱えやすくなります。
50代以降は負債が減りやすいものの、退職と資産の取り崩しが近づいてきます。
それぞれの時期に合った考え方が必要です。
社会人になったばかり|まずは家計の土台を作る

就職して間もない時期は、資産額が少なくても過度に焦る必要はありません。
この時期の最大の強みは、これから長く働き、収入を得られる可能性があることです。
最初に優先したいのは、投資額を最大化することではありません。
次の順番で家計を整えていきます。
- 毎月の収支を把握する
- リボ払いや高金利の借入を減らす
- 数か月分の生活費を預金で確保する
- 無理のない金額で積立投資を始める
- 収入を増やすための経験や資格にもお金を使う
若いうちは、運用期間を長く取れます。
少額でも長く積み立てれば、資産形成の習慣を作れます。
一方、貯金がほとんどない状態で投資を優先すると、急な出費があったときに投資商品を売らなければならないかもしれません。
最初から大きな金額を投資する必要はありません。
月5,000円や1万円など、生活に影響しない範囲から始める方法もあります。
この時期は、投資によるリターンだけでなく、働いて得られる収入を増やすことも重要な資産形成です。
結婚・出産|個人のお金から家族のお金へ変わる
結婚や出産を迎えると、自分一人のお金だけを考えればよい状態ではなくなります。
家族が増えると、次のような支出が発生しやすくなります。
- 引っ越し費用
- 出産費用
- 育児用品
- 保育料
- 車の購入費
- 住宅購入費
- 収入減少への備え
特に一馬力家庭では、働いている人の収入が減ると、家計全体に与える影響が大きくなります。
そのため、独身時代よりも生活防衛資金を厚くする必要があります。
僕の家では、家族3人の生活防衛資金として、現金500万円を一つの目安にしています。
すべての家庭に500万円が必要という意味ではありません。
月の生活費、雇用の安定性、夫婦の収入、頼れる家族の有無によって必要額は変わります。
大切なのは、投資額を増やす前に、収入が途絶えても家族が生活できる期間を確認することです。
一馬力家庭で生活防衛資金を多めに持つ理由と、僕が500万円を現金で確保する考え方は、一馬力家庭の生活防衛資金はいくら?500万円を現金で持つ理由で詳しくまとめています。
夫婦のお金は、目的別に分けて管理すると分かりやすくなります。
| お金の種類 | 主な置き場所 |
|---|---|
| 毎月の生活費 | 普通預金 |
| 生活防衛資金 | 預金 |
| 数年以内に使う予定資金 | 預金 |
| 10年以上使わない老後資金 | 投資を検討する |
| 進学時期が近い教育費 | 預金を中心にする |
教育費として使う予定のお金を、使う直前まで株式で運用していると、進学時期と大きな下落が重なる可能性があります。
子どもが小さいうちは、進学まで長い運用期間を取れます。
ただし、使う時期が近づいたら、必要な分を少しずつ現金へ移していくことも必要です。
住宅購入・子育て|投資と現金のバランスを取る

30代から40代は、住宅購入や子育てによって支出が増えやすい時期です。
総務省の2025年調査では、40歳未満の二人以上世帯の負債現在高は平均1,882万円でした。
40代でも平均1,483万円の負債があります。
この時期は、「まだ若いから、余ったお金はすべて投資へ回そう」と考えるよりも、数年以内の支出を整理することが大切です。
例えば、次のようなお金は投資と分けておきます。
- 住宅の頭金
- 引っ越し費用
- 車の買い替え費用
- 入学費用
- 家電の買い替え費用
- 出産や育児による収入減少への備え
一方、住宅ローンや教育費を理由に、老後の積立を完全に止める必要があるとも限りません。
家計に無理のない金額で積立を続ければ、資産形成の習慣を保ちやすくなります。
この時期は、投資額を最大化するよりも、大きな支出に備えながら、少額でも長期投資を続けるというバランスが重要です。
40代・50代|老後までの時間と必要額を確認する
40代から50代になると、老後が少しずつ現実的な問題になってきます。
子どもの教育費が増える一方、住宅ローンが残っている家庭も少なくありません。
この時期に大切なのは、「老後が不安だから、投資額をとにかく増やそう」と考えることではありません。
まずは、現在地を確認します。
- 現在の金融資産
- 預金と投資の割合
- 住宅ローンの残高
- 今後必要になる教育費
- 退職金の見込み額
- 受け取れる年金の見込み額
- 退職後の生活費
- 何歳まで働く予定か
将来受け取れる年金額は、日本年金機構の「ねんきんネット」で試算できます。
現在と同じ条件で働いた場合だけでなく、今後の働き方や年金の受給開始年齢を変えた場合の試算もできます。
出典:日本年金機構「ねんきんネットによる年金見込額試算」
確認日:2026年7月26日
老後に必要な金額は、一律に2,000万円や3,000万円と決められるものではありません。
年金が月20万円で生活費が月25万円なら、毎月5万円が不足します。
一方、年金の範囲内で生活できれば、資産を大きく取り崩さずに済む可能性があります。
老後資金を考えるときは、資産額だけでなく、毎月いくら不足するのかを確認することが重要です。
僕が45歳までに資産5,500万円を目指している理由や、生活防衛資金と運用資産の分け方は、45歳・資産5500万円へ|地方一馬力・家族3人のサイドFIREロードマップでまとめています。
50代・退職準備|増やすだけでなく使い方を考える
50代になると、退職までの期間が具体的に見えてきます。
この時期からは、資産を増やすことだけでなく、いつから、いくら取り崩すのかを考え始めます。
50代になったからといって、すぐに投資をやめる必要はありません。
65歳で退職しても、その後20年以上生活する可能性があります。
一方、数年後に使う予定のお金を株式100%で運用し続けると、退職直前の下落によって生活設計が崩れるかもしれません。
退職が近づいたら、資産を次のように分けます。
| 資金の役割 | 考え方 |
|---|---|
| 退職までに使うお金 | 預金で確保する |
| 退職直後の生活費 | 値動きの少ない資産を中心にする |
| 老後後半まで使わないお金 | 分散投資を続ける選択肢もある |
| 緊急時の資金 | すぐ使える預金で持つ |
現金比率を高めるのは、年齢が上がったからではありません。
お金を使う時期が近づいたからです。
退職前に、投資信託を少額ずつ売却する練習をしておく方法もあります。
投資信託を保有しているときと、実際に資産が減っていくときでは、心理的な負担が異なるからです。
定額と定率による取り崩し方の違いは、オルカン自動売却で4%ルールを検証|定額と定率を比較で詳しく説明しています。
60代・退職移行|投資を始めるには遅いのか
「60代から投資を始めても遅い」と考える人もいます。
しかし、60代でも運用できる期間は残されています。
厚生労働省の2024年簡易生命表によると、65歳時点の平均余命は次のとおりです。
| 性別 | 65歳時点の平均余命 | 65歳に平均余命を足した年齢 |
|---|---|---|
| 男性 | 19.47年 | 約84歳 |
| 女性 | 24.38年 | 約89歳 |
65歳から平均余命を単純に足すと、男性は約84歳、女性は約89歳です。
平均値なので、これより短い人も長い人もいます。
それでも、65歳から約20年以上の生活が続く可能性を考える必要があります。
出典:厚生労働省「令和6(2024)年簡易生命表の概況」
確認日:2026年7月26日
そのため、60代だから資産をすべて預金にすることが、必ずしも正解とは限りません。
ただし、20代と同じように、資産の大半を株式へ一括投資するのも慎重に考える必要があります。
60代で投資を始める場合は、資産を目的別に分ける方法があります。
60代の資産を3つに分ける例
| 資金 | 使う時期 | 考え方 |
|---|---|---|
| 生活資金 | 数年以内 | 預金で確保する |
| 中期資金 | 数年後から10年程度 | 元本の安定性を重視する |
| 長期資金 | 10年以上先 | 分散投資を検討する |
例えば、年金と生活費の差額が月5万円なら、年間の不足額は60万円です。
5年分では300万円になります。
この300万円とは別に、医療費、住宅修繕、車の買い替えなどの予備資金も必要です。
近い将来に使うお金を確保したうえで、10年以上使う予定がない資金があるなら、その一部を投資に回す選択肢があります。
現在のNISAは、日本国内に住む18歳以上の人が利用できます。
60代でも利用でき、NISA口座内で得た売却益や配当、分配金は非課税です。
ただし、NISAは利益を保証する制度ではありません。
NISA口座であっても、購入した投資信託や株式が値下がりする可能性はあります。
出典:金融庁「NISAを知る」
確認日:2026年7月26日
60代から始める場合も、最初から大きな金額を入れる必要はありません。
少額で値動きを経験し、自分がどの程度の下落まで受け入れられるのかを確認する方法もあります。
投資できる期間があることと、大きなリスクを取ってよいことは別です。
年金生活・資産取り崩し|毎月の不足額を把握する

退職して給与収入がなくなると、生活は主に次の3つで支えることになります。
- 公的年金
- 預金の取り崩し
- 投資資産の売却
総務省の2025年家計調査では、65歳以上の無職世帯の平均的な家計収支は次のようになっています。
| 世帯 | 実収入 | 可処分所得 | 消費支出 | 可処分所得と消費支出の差 |
|---|---|---|---|---|
| 夫婦のみの無職世帯 | 25万4,395円 | 22万1,544円 | 26万3,979円 | -4万2,435円 |
| 単身無職世帯 | 13万1,456円 | 11万8,465円 | 14万8,445円 | -2万9,980円 |
夫婦世帯では、可処分所得より消費支出が月約4万2,000円多くなっています。
単身世帯でも、月約3万円の不足があります。
出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果」
確認日:2026年7月26日
もちろん、これは平均です。
実際の年金額や生活費は、人によって大きく異なります。
持ち家か賃貸か、車を持っているか、住宅ローンが残っているかによっても変わります。
重要なのは、平均的な不足額をそのまま自分に当てはめることではありません。
自分の数字を使って計算することです。
老後の不足額を計算する方法
例えば、退職後の生活費が月25万円、年金の手取り額が月20万円なら、毎月の不足額は5万円です。
年間では60万円になります。
| 期間 | 不足額 |
|---|---|
| 1年 | 60万円 |
| 5年 | 300万円 |
| 10年 | 600万円 |
| 20年 | 1,200万円 |
実際には、物価上昇、医療費、介護費、住宅修繕などもあるため、この計算どおりになるとは限りません。
それでも、最初に不足額を把握すれば、必要な資産額や取り崩し方法を考えやすくなります。
退職後は、資産額だけを見るのではなく、年金と資産の取り崩しで、毎月の生活費を賄えるかという視点が重要です。
運用資産5,000万円を毎月0.3%ずつ取り崩した場合の金額は、資産5000万円を月0.3%取り崩すといくら?サイドFIRE生活費を試算で計算しています。
僕は生活防衛資金とオルカンの自動売却を続けたい

ここまでは、幅広い家庭に当てはめやすい一般的な考え方をまとめてきました。
一方、僕自身は現時点で、年齢に合わせて株式を少しずつ減らしていくつもりはありません。
大きく方針が変わらなければ、天に召されるまで、生活防衛資金を確保しながら、オルカンの自動売却を続けたいと考えています。
僕の中では、資産を次の2つに分けるイメージです。
| 資産 | 役割 |
|---|---|
| 生活防衛資金 | 暴落時や緊急時にも売却せず生活するためのお金 |
| オルカン | 長期運用しながら、必要な分を自動売却するお金 |
生活防衛資金があれば、相場が大きく下がったときも、すぐにオルカンを多く売る必要はありません。
日々の生活や突発的な支出は現金で支えます。
そのうえで、オルカンは定率で自動売却し、セルフ年金のように使う考えです。
僕にとってオルカンは、感覚的には「残高が変動する貯金」に近い存在です。
もちろん、本当の預金ではありません。
オルカンは世界中の株式へ投資する投資信託です。
元本保証はなく、株価や為替の影響によって評価額が大きく下がることがあります。
運用会社の目論見書にも、投資元本は保証されず、基準価額の下落によって元本を割り込む可能性があることが明記されています。
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
確認日:2026年7月26日
それでも「残高が変動する貯金」と考えているのは、短期的な値動きで売買するのではなく、長期間持ちながら必要な分だけ使う予定だからです。
銀行預金と同じ安全性があるという意味ではありません。
使い切るまで長く付き合う資産という意味で、そのように捉えています。
含み益が暴落時のクッションになる可能性がある
長期間運用して含み益が増えていれば、相場が下落しても、すぐに投資元本を割らないことがあります。
僕はこれを、個人的に「含み益バリア」と考えています。
例えば、1,000万円で購入した資産が2,000万円まで増えていたとします。
そこから30%下落した場合、評価額は1,400万円です。
大きく下落していても、購入額の1,000万円は上回っています。
含み益が、値下がりを受け止めるクッションになっている状態です。
ただし、含み益バリアは絶対ではありません。
- 運用を始めた直後は含み益が少ない
- 大幅な下落では含み益がなくなる
- 下落中も取り崩せば口数が減る
- 将来も過去と同じように成長するとは限らない
こうした注意点があります。
含み益があるから、オルカンは安全という意味ではありません。
それでも、長く運用して取得額と評価額の間に余裕ができれば、下落時の心理的な負担は小さくなるかもしれません。
暴落時も生活防衛資金があれば慌てにくい
オルカンを生涯持ち続けるうえで、僕が大切だと思っているのが生活防衛資金です。
投資資産だけで生活していると、暴落時にも生活費を作るために売却しなければなりません。
一方、十分な現金があれば、次のような調整ができます。
- 臨時支出を現金で支払う
- 必要に応じて取り崩し額を減らす
- 相場が回復するまで投資資産を多めに残す
僕にとって生活防衛資金は、単に失業へ備えるお金ではありません。
オルカンを長く持ち続けるための土台でもあります。
僕が生活防衛資金500万円を投資に回さず、現金として持つ理由は、一馬力家庭の生活防衛資金はいくら?500万円を現金で持つ理由で詳しく説明しています。
一般的な方法と僕の方法はどちらが正解という話ではない
僕は生活防衛資金とオルカンの自動売却を組み合わせたいと考えています。
ただし、この方法が全員に合うとは思っていません。
株式の値下がりが不安な人もいます。
資産残高が毎日変動するだけで、落ち着かなくなる人もいます。
高齢になると、投資商品の管理や売却手続きが負担になる可能性もあります。
その場合は、退職が近づくにつれて現金や値動きの小さい資産を増やす方法が合っているかもしれません。
重要なのは、一般的な資産配分をそのまま採用することではありません。
自分が理解でき、暴落時にも続けられる方法を選ぶことです。
僕は現在、SBI証券の定額売却と楽天証券の定率売却を、自分のお金で実際に試しています。
毎月の受取額と評価額は、オルカン自動売却の実績公開|定額・定率で4%ルール検証で更新しています。
70代以降|資産を増やすより管理しやすくする
70代以降も、投資を続けてはいけないわけではありません。
ただし、資産運用の目的は、資産を最大化することから、生活を安定させ、管理しやすくすることへ移っていきます。
この時期に確認したいのは、次の項目です。
- 日常生活に必要な預金が確保されているか
- 医療や介護に使う資金があるか
- 住宅修繕費が必要にならないか
- 金融機関や口座が増えすぎていないか
- 家族が資産状況を把握できるか
- 複雑な商品を保有していないか
- 相続や認知機能低下への備えがあるか
投資商品をたくさん保有していると、管理が難しくなります。
商品数を減らし、口座を整理し、資産の置き場所を家族に伝えておくことも重要です。
特に、仕組みを自分で説明できない商品や、途中で解約しにくい商品は慎重に判断する必要があります。
70代以降も、長期資金を投資で保有する選択肢はあります。
ただし、本人が内容を理解し、値動きがあっても生活に影響しない範囲にとどめることが大切です。
口座、保険、パスワード、相続など、家族が困らないための準備は、資産は残すだけでは危ない|家族を守る終活リストと投資の実学でまとめています。
預金だけで持つことにもリスクがある
預金は、近い将来に使うお金を置く場所として重要です。
投資のように、短期間で残高が大きく上下することもありません。
その一方で、預金だけで資産を持つ場合には、物価上昇によるリスクがあります。
総務省によると、2025年の消費者物価指数は、総合指数で前年比3.2%上昇しました。
出典:総務省統計局「2025年消費者物価指数」
確認日:2026年7月26日
物価が上がると、同じ金額で購入できる商品やサービスが少なくなります。
仮に、毎年2%の物価上昇が20年間続いた場合、現在100万円で買えるものを購入するためには、20年後に約149万円が必要です。
反対に考えると、現在の1,000万円は、20年後には現在の約673万円分の購買力になる計算です。
| 物価上昇率 | 現在100万円のものに20年後必要な金額 |
|---|---|
| 年0% | 100万円 |
| 年1% | 約122万円 |
| 年2% | 約149万円 |
| 年3% | 約181万円 |
将来の物価上昇率が、このとおりになるとは限りません。
物価がほとんど上がらない期間もあれば、大きく上がる期間もあります。
ただし、預金残高の数字が減っていなくても、買えるものが減る可能性があることは知っておく必要があります。
預金が危険なのではありません。
問題なのは、近い将来に使うお金と、20年以上使わないお金を、すべて同じ預金として管理することです。
投資だけに偏るのも危険
預金だけのリスクを知ると、「それなら、すべて投資したほうがよいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、投資商品は価格が上下します。
必要なときに値下がりしていれば、損失が出た状態で売却することになります。
例えば、退職直前に資産の大半を株式へ投資し、その直後に大きく下落した場合、その後の生活費を作るために、安い価格で売却し続けることになるかもしれません。
資産運用で大切なのは、預金と投資のどちらか一方を選ぶことではありません。
それぞれの役割を分けることです。
| 資産 | 得意な役割 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 普通預金 | すぐ使う生活費 | 物価上昇に弱い |
| 定期預金 | 使う時期が決まった資金 | 途中解約や金利に注意 |
| 個人向け国債など | 値動きを抑えたい中期資金 | 大きなリターンは期待しにくい |
| 株式・投資信託 | 長期間使わない資金 | 価格が下落する可能性がある |
預金には預金の役割があります。
投資には投資の役割があります。
どちらかを否定する必要はありません。
年代別に一律の資産配分を決めない
年代別の資産運用記事では、次のような資産配分が紹介されることがあります。
- 20代は投資80%
- 40代は投資60%
- 60代は投資30%
分かりやすい目安ではありますが、そのまま全員に当てはめるのは難しいでしょう。
例えば、同じ65歳でも状況は異なります。
Aさんの場合
- まだ働いている
- 年金と給与で生活費を賄える
- 住宅ローンがない
- 預金が十分にある
- 10年以上使わない資金がある
Bさんの場合
- すでに退職している
- 年金だけでは毎月赤字になる
- 賃貸住宅に住んでいる
- 預金が少ない
- 数年以内に資産を使う予定がある
AさんとBさんでは、同じ65歳でも投資できる金額が違います。
Aさんは、長期間使わない資金の一部を投資できるかもしれません。
Bさんは、値下がりする投資よりも、まず生活費を確保する必要があります。
年齢だけでは、適切な資産配分を決められません。
家族へ投資を勧める前に確認したいこと
家族や身近な人が投資をしていないと、次のように伝えたくなることがあります。
- 預金だけではもったいない
- NISAを始めたほうがよい
- オルカンを買えば大丈夫
しかし、最初から金融商品を勧めるのは避けたほうがよいと思います。
まずは、次のことを確認します。
- 毎月の生活費はいくらか
- 何歳まで働く予定か
- 年金はいくら受け取れるか
- 預金や保険はいくらあるか
- 住宅ローンや借入はあるか
- 数年以内に大きな支出があるか
- 資産を誰が管理しているか
- 投資で値下がりすることを理解できるか
これらを確認しないまま投資を始めても、投資に回せる金額は分かりません。
特に家族間では、投資で損失が出たときに関係が悪くなる可能性があります。
そのため、「投資したほうがよいよ」ではなく、「退職後の収入と生活費を、一度整理してみない?」と声をかけるほうがよいと思います。
投資を始めることが目的ではありません。
年金と資産で、今後の生活を続けられるか確認することが目的です。
本人が投資を望まないのであれば、無理に始める必要はありません。
投資をしない選択も、本人の意思として尊重する必要があります。
ただし、その場合でも、物価上昇や資産の取り崩しによって、預金がどのように減っていくのかは確認しておきたいところです。
人生のステージ別・資産運用のまとめ

ここまでの内容を、人生のステージ別にまとめます。
| 人生のステージ | 資産運用の主な目的 | 優先したいこと |
|---|---|---|
| 社会人になったばかり | 家計の土台を作る | 生活防衛資金と少額積立 |
| 結婚・出産 | 家族を守る | 現金を厚くする |
| 住宅購入・子育て | 大きな支出に備える | 投資と予定資金を分ける |
| 40代・50代 | 老後の必要額を確認する | 資産・年金・負債を整理する |
| 50代・退職準備 | 資産の使い方を決める | 取り崩し方法を考える |
| 60代・退職移行 | 資産寿命を延ばす | 近い支出と長期資金を分ける |
| 年金生活 | 毎月の不足を補う | 計画的に取り崩す |
| 70代以降 | 管理を簡単にする | 介護・相続・口座整理 |
若い人は、運用できる時間が長いことが強みです。
子育て世帯は、投資だけでなく、現金を持つことが家族を守ることにつながります。
退職が近い人は、資産を増やすことから、使い方を考える段階へ移ります。
年金生活に入ったら、資産額だけでなく、毎月の不足額を見ながら取り崩します。
60代から投資を始めることも、必ずしも遅くはありません。
ただし、20代と同じリスクを取る必要はありません。
数年以内に使うお金は預金で確保し、長期間使わない資金だけを投資の候補にします。
僕自身は、十分な生活防衛資金を確保したうえで、オルカンの定率自動売却を生涯続けたいと考えています。
この方法も、数ある選択肢の一つです。
一般的な資産配分をそのまま採用するのではなく、自分が安心して続けられる仕組みを作ることが大切です。
まとめ|預金か投資かではなく役割を分けよう

資産運用は、年代だけで決めるものではありません。
大切なのは、人生のステージと、お金を使うまでの時間です。
預金は、生活費や近い将来の支出を守るために必要です。
一方、長期間使わない資金をすべて預金で持つと、物価上昇によって実質的な価値が減る可能性があります。
反対に、近いうちに使うお金まで投資すると、値下がりしたタイミングで売却しなければならないかもしれません。
そのため、資産を次のように分けます。
- すぐ使うお金
- 数年以内に使うお金
- 10年以上使わないお金
- 緊急時に使うお金
そして、それぞれに合った置き場所を考えます。
僕自身、身近な人へ無理に投資を勧めるつもりはありません。
ただし、預金だけで持つことにもリスクがあることや、退職後は年金と資産の取り崩しで生活することは、一度整理しておいたほうがよいと感じています。
投資をすることが正解なのではありません。
自分の資産、年金、生活費を把握したうえで、納得できる方法を選ぶことが大切です。
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